老い

生きている限り、毎年、毎日、毎時、毎分、毎秒・・・
私達は老いていく。

季節が移り変わり、秋が来て、冬がくる。
そうして一年が過ぎていき、誰であろうと確実に老いていく。

まだまだ暖かかった１０月初めのネネムは、いつもと変わらず、のんきに床に転がっていた。


でも、この頃から少しずつ、少しずつ、始まっていたのかもしれない。

１１月に入り、ネネムはほとんど食べなくなった。
食べてないから出るものもなく、出ても下してしまっていた。
病院でみてもらったけど、体重が減っていることが大問題で、
とにかく食べて、とにかく太らせて、と。
下旬になって体重は２キロまで落ち、ネネムは初めて輸液を受けた。

１２月。
血液検査の結果は、意外にも悪くない。

ずっとずっと気にかけてきた腎臓関連の数値は全て基準値内で
どこも悪い所が見つからない。
口の中にも炎症はない。
つまり、これは『老い』でしょう、と・・・。

１９歳のネネムが、老猫であることは疑いもない。
めっきり白髪が増えて、筋肉が落ちた太ももに、


束で抜け落ちていくふわふわの毛。
毛が少なくなって、背骨がごつごつと出て、小さくなっていくネネムに
老いを感じてなかったわけじゃない。

充分にわかってる。
１０歳を過ぎた頃から、いつ、私を置いていってしまってもおかしくないのだ、と、
ずっとずっと、怯えてきたのだから。

でも、まだダメなんだよ、ネネム。
私はまだ、ダメなんだよ。

まだ、いかないで。

＊文中、ネネムの年齢が間違っていたことが判明したため、訂正しました。誤：１７歳→正：１９歳（2018年7月訂正）